年齢を重ねるにつれ様々な疾患を発症するリスクが高まりますが、その中の一つにパーキンソン病があります。身体が動かしにくくなったり、震えたりするなどの運動に関わる症状が出てくる疾患です。
現在の日本では20万人くらいの人が、パーキンソン病に罹っているといわれています。特に多いのが高齢者ですが、若い人であっても発症する可能性があります。
パーキンソン病の原因

パーキンソン病は、脳の奥の「黒質」と呼ばれる場所にあるドパミン神経細胞が減少することによって発症します。
ドパミンとは、人間が思った通りに身体が動くよう、動きを指令している神経伝達物質です。パーキンソン病になると、正常なドパミン量の20%程度に減少し、脳内での運動調節ができなくなり、身体の動きに障害があらわれます。
どんな症状があらわれる?
パーキンソン病の代表的な症状は、4つあります。
振戦(しんせん)
安静にしているときに、手や足に細かな震えが生じます。
動作緩慢(かんまん)
動作が鈍くなり、歩く速度が遅くなります。歩幅も狭くなり、腕の振りも小さくなるのが特徴です。
筋固縮(きんこしゅく)
腕や足、体幹の筋肉が強張って固くなり、スムーズに動かすことが困難になります。関節の曲げ伸ばしをしたときにカクカクとした不自然な動き方をします。
姿勢反射障害
身体のバランスが悪くなり、転びやすくなります。重心が傾いてしまうと元の姿勢に戻ることが難しくなります。発症早期からではなく、数年経過してから起こることが多いと言われています。
上記以外にも、自律神経や中枢神経にもダメージを受け、認知症や幻覚、抑うつ、便秘、頻尿、睡眠障害など多岐にわたる合併症があらわれることもあります。
パーキンソン病の予防方法は?

パーキンソン病の進行を防ぐための治療以外に、自分自身で出来ることもあります。予防で大事なことは、ドパミンを増やすことです。
薬物治療やリハビリテーションとあわせてセルフケアを行うことで、さらに効果的な予防につながります。
適度な運動
運動は筋力の低下を防ぎ、ドパミンの分泌を増やす効果があります。ただし、無理な運動は好ましくありません。無理せず、自分の状況に応じた運動にしましょう。大事なのは適度な運動を継続することです。
規則正しい生活
先述のとおり、パーキンソン病の合併症として睡眠障害があります。薬物治療による副作用で、日中に眠気がきて昼夜逆転生活になってしまう人も多いです。起床時間、入眠時間の設定、朝は日光を浴びるといったセルフケアを行い、睡眠のリズムを崩さないように気をつけましょう。
水分を摂る
パーキンソン病の患者の約8割に便秘症状があらわれます。原因として筋固縮によって排便に関わる筋肉がうまく調節されないことに加え、水分不足が挙げられます。パーキンソン病は自律神経機能も低下し、脱水になりやすいので、こまめな水分補給が大切です。
好きなことをやって楽しく過ごす
脳が楽しく感じているときは、ドパミンが分泌されています。自分が楽しいと感じることを積極的に行ってドパミンの分泌を促進させましょう。
当グループは治療だけでなく、セルフケアについてのアドバイスも行っています。少しでも進行を遅らせるために、一緒に取り組んでいきましょう。